連載●文はクボユーシロー
小旅行日記22
(西麻布その1)
東川口から地下鉄1本で『麻布十番』に行ける。『赤羽』まで来ていた
地下鉄南北線が、昨年のワールドカップに合わせて建設されていた埼玉県の
第3セクター地下鉄と3年前にくっついたのである。
折りたたみ自転車を小脇に抱え、『埼玉高速鉄道・東川口駅』から地下鉄に
乗り込み『南北線・麻布十番駅』に向かった。しかし、今回の目的地は
麻布十番じゃなく西麻布である。僕が今回行った『西麻布』は西麻布と
言っても『雨の西麻布』の歌にあるような夜のネオンがきれいなエリアじゃ
なくて、日赤の裏の住宅街である。
今から何十年も前の話であるが、学生時代の授業にグループ制作があった。
その仲間の一人がここ『西麻布』に住んでいて彼の家に何度もおじゃました。
また、このあたりから有栖川公園まで皆とよく散歩もした。こんな学生時代の
懐かしい思い出の詰まる麻布界隈にいつか行ってみようと思っていた。
地図で見ると『麻布十番駅』から日赤医療センター(定かでないが、昔は
日赤産院と言ってたように記憶している)までは遠くなかった。その日、
天気も爽やかだったので、思い切って思い出の麻布界隈に出掛けることにした。
麻布十番から西麻布までは地図で見ると近いが、現実は山あり谷ありで自転車
にはハードな所である。長くて急な仙台坂を登る途中、警官5,6名がこっちを
睨んでいた (後で地図を見るとそこは韓国大使館だった) 。仙台坂を上りきると
そこは『仙台坂上』と言うバス停だった。そこからしばらくまっすぐ行くと
今度は北条坂という急な坂に出た、別名を『胸突き坂』と呼ぶらしい。 つづく