10/6ののらねこ       文は田島薫



遅番で出勤すると、水道メーターの上の箱にデジャブのようにまだらがいた。

(ほんとはデジャブじゃなくていつものように彼がいただけだけど)

朝1のシャンさんが来た時はいず、少したってから来たけど、エサの催促は

しなかったそうだ。

皿を見ると土曜に足したやつと、先週出してこれは「ねこまたぎ」になる、

とシャンさんが予言した通り、ほんのわずかづつしか減って行かない不評の

4日越し小アジの骨がまだ少し残っていた。

休み明けだし、最近では珍しく肌寒い日だから、腹が減ってるはずなのに

よっぽどつけ合わせの小アジが気に入らないらしい。


こっちも、のらねこをあまり甘やかしちゃいけない、といったきちんとした

方針でエサを与えているもんだから(それほどのことでもないか)、皿の

中身を新しいものに変えてやんなかった。


3時過ぎになったら、ねこの大声が外でしたので、出てみると、まだらと

ブラウンがふたりして激しくエサを催促している。

皿をみると、変えてくれないのにしびれを切らして、しぶしぶかたずけた

らしく、からっぽになっていた。


ほら、ちゃんときれいにかたずけたぜ、もうかんべんしてくれよ、はやく

あんな骨みたいんじゃなくて、きちんとした普通の食事をたのむよー、って

ふたりで声を合わせて抗議していたのだろう。


戻る