今週の感動              文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
今週は先週届いた、廃棄物と宇宙との関係的週遅れの「今週の感動」。




突然ではありますが、僕はあんがい物持ちなのであります。

こんな切り出しにも御安心のほど。今もビンボーだけど、ず〜っと

ビンボーなので物が捨てられない性分の結果なのでありますから。

乗らないバイク乗れないバイクがいまだ数台あるし、滑らないスキーや

スキーブーツも何セットもある。もう振らないゴルフクラブも何セットも

あるんだからすごいでしょ。やがてやって来るだろう鮮やかな日のために

何も捨てられないって思ってきたのであります。そんな中、やっかいだった

のが唯一「車」 これだけは本当に邪魔で車検が切れたまま、庭隅に放置

され続け数年、やっと廃棄処分することにした。心ん中じゃ泣く程もったいないけど

乗るにはお金がかかりすぎるんだもん。

で、近所を走り廻って探した廃棄処分場に駆け込んだ。その前を何度も通って

いたので知らない店ではなかったんだが、入ってみて驚いた。

「廃棄したいんですけどお願い出来ますか?」と言うわたしに

「あいよ!・・でもね廃棄って言葉には、裏を返せばまた誕生ってことも含む

んだよね」的返答が帰ってきたのであります。そう言いながらズタズタの油まみれの

ツナギ姿の初老の主人はお茶を出してくれた。

あたり一面鉄やらタンクやらタイヤやら車やらに囲まれてる中、その主人の

話しは続いた。

「こうやって、毎日廃棄もんに囲まれていると、人間ってものの性が見えてくるし、

ものへの執着やありがたさに感謝しちゃうんだよなー」って。

それから話しはアラブ問題、アメリカのエゴ、そのうえ宇宙的な話しにまで続いた。

膝の上にはまっくろに汚れた猫がいびきをたてて寝ているし、すごい付き合い話に

なってしまった。

田舎の畑の真ん中にポツンとある廃棄場で宇宙を論じる夕方、たしかに火星が

光っていた。

話は長くなってしまったけど、お金は通常20,000円ぐらいを破格の6,000円でさっそく

レッカー車で引き取りにきてくれた。かつての我が車はその晩に新しい旅に出ることに

なったのであります。引かれていく車にちょっとセンチメンタル・ナイト!


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