11/17ののらねこ       文は田島薫



きょうも朝からだれも事務所前まで上がって来たお客さんを見ていない。

シャンさんが朝1で来たら皿は空だったのでエサを入れてそのまま、誰も

食べに来ない。

となりの建物の屋根のあるベランダの座ぶとんの上にブラウンが寝ていて、

塀のねこけもの道の向こうにちびとらが座っていたけど、呼んでも無反応。


クボセンセーの話しによると、最近近所の七曲がりの路地にある家の前の

毛布をしいた箱の中につーとんとまだらの兄弟がいっしょにいて、エサを

もらっているようだというので、彼らに小言のひとつも言ってやろうと

見に出かけてみたら、まだらの兄弟のあまり来ない方が箱の中にいた。

私を見ても憶えていないようで、声をかけたら、じりじりと箱から出て、

わきの方の家のすき間に隠れてしまった。


七曲がりにある家の前には以前も毛布つきの箱の中にねこがいて、通行人

に可愛がられていたが、去年の冬に亡くなった。

住人は優しそうだけど、家は外もコンクリだし毛布をしいても箱は寒そうで、

楽なつもりでいる彼らが大丈夫かちょっと心配な感じがする。

もっともうちの事務所の前だってあったかくはないんだから、それは

負け惜しみの悪口ってことになるんだろうけど。


お客さんがうちの方に来ないっていうなら、今後こうやってお客さん探して、

そんなんじゃだめだ、って文句を言いながら近所を歩き回らなけりゃ

ならないのかも知れない。(そんなことだれもたのんどりゃせんっ)


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