連載●文はクボユーシロー

貞熊遺伝研究所22


(天の使い15)

先週、『辛淑玉(しんすご』さんのガードマンをした。5月3日(土)の憲法記念日、『平和、

人権、教育』をテーマに永六輔さんと辛淑玉さんの講演会が松戸市内で行われた。市内

の約30のいろいろな団体が集まり、実行委員会を作りこの講演会を準備した。団体の色

分けを僕の想像で言うと日共系が3割、非日共系 (旧社会党系など)が3割、後の4割が宗教

系や福祉系NPOなど政治色の薄い団体と感じた。それにしても実行委員会の会合に集まっ

てくる各団体の役員の年齢の高いこと。40歳以下は一人か二人、50代が一番多く60代70

代と続く。僕が若い頃は70年安保闘争があったり、全共闘があったり、ベトナム戦争が

あったりでこういう集会の準備はいつも20代が半分以上いた。今の20代はどこに行った

のだろう。

実行委員会に集まった各団体からその力量に応じて人数を出し、当日の任務分担などを

決めた。任務の一つに『警備』があった。永さんも辛さんも普段、言いたい事をどんど

ん言うタイプ。お二人を快く思わない方々が結構いるらしく『警備』が必要という事に

なった。そこで僕を含め7人が『警備』担当になり、各自が持ち場を決めた。

当日、会場である市民会館大ホールには1200人のお客が入り満員だった。僕は舞台の脇

にある階段下の席に座り、もし暴漢(言い方が古い)が駆け上がろうとしたら『コラッ!』

と言う役になった。

お二人のトークはとても面白く、観客は全体の時間の3分の2笑いこけていた。僕も警備の

事などすっかり忘れ一人の観客となり大笑いしていたが、いくつかつらい話もあった。

在日コリアン3世の辛さんは調査のため、中国東北部の朝鮮族自治区に何度も行ったそう

です。その時、北朝鮮から越境しているたくさんの子供たち(彼らはお金を稼ぐと北朝鮮

に帰る)に『大人になったらどんな仕事をしたい?』という質問をした。彼らの答えは総

て同じだったそうです。

「ご飯の食べられる仕事…。」 つづく


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