3/24ののらねこ
      文は田島薫



友達の展覧会を見て遅く出勤すると、階段の下の1階の事務所の前に

止まっている車の横につーとんがいて、おう、とおたがいにあいさつした。

きょうは気持ちのいい天気で、彼ものどかな表情をしていた。

私が階段を事務所のある3階まで上ると、後から彼も上って来た。

もうすでに、クボセンセイからエサを出してもらえて食事は済んでいるよう

だったのに、私に何か話したいことでもあるように見えたので、

顔を見ながらなんだい?と聞いてみた。が、

特に何も言うことはなかったようで、ドア前のベランダのすみに寝転んだ。


こんな時はかまってほしいのかと、たいていブラシを持ってて、体をこすった

のだが、彼はブラッシングはあまり好きではないようで、いつもすぐに

立ちあがってわきへ避けてしまうので、このごろはブラシしないのだ。


まるくなってるのを見ていると、むこうも時々こっちを見る。

ひっこんでしばらくして行ってもまだ寝ている。

またしばらくして行ってみると、今度はいなくなっていた。


後からバットマンが来た。鈴をつけたにせのらねこだ。

彼もあいそがよくて逃げないので、ブラシをしてやったら、すぐ行って

しまった。最近のねこの若いもんはブラシがきらいなようだ。


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