連載●文はクボユーシロー

貞熊遺伝研究所15



(天の使い8)

平和運動がもてあそばれている。予測されている戦争に関して既にブッ

シュとフセインの間で話しがついていると言う。正確に言うとブッシュ

を操る裏の委員会(軍需産業系組織)とフセインと癒着しているグループ(

武器ブローカー)の間で筋書きがほぼ固まったと言うのである。これは

『天』からの情報である。

『天』は地球の生物の抗争に関与しないが、動きにはとても興味がある

らしい。世界中に散らばる我々のような『使い』から情報を集め分析し

ている。

僕が40年付き合っている『天』の地球エリア担当者(彼は個人でなくシス

テムのような存在、多分そんな気がするが断定できない)がこっそり教えて

くれたのである。

彼に言わせると、元々この戦争話は破綻しかかっているアメリカ経済立て直

しのカンフル剤を大義名分に絵図面が描かれブッシュに持ち込まれたらし

い。おまけに現在の米軍備品及び重火器類などの更新を望む軍部のニーズが

このプランをサポートしたと言う。

「フセインは憎いけど、戦争が起きたらイラクの子供達がかわいそう」とい

う市民的ヒューマニズムで起こる世界的反戦運動も『このプラン』はおり込

み済みであるという。

アメリカ側とイラク側は今の段階ではだいたいシナリオに沿ってやっている

らしい、双方。

このプロジェクトを立ち上げた裏の委員会は『アメリカの軍需産業』であ

る、要するに大量の軍需物資や爆弾類が消費されれば良いのである。そのプ

ランには消耗される軍需品のメーカー別見積もり数が出され、軍の現場の責

任者にはそれぞれ消費ノルマが課せられているらしい。

しかし、『軍需産業』にとって『イラクのフセイン』は美味しいのである。

つまり簡単につぶしては元も子もなくなる。これは中近東あたりを縄張りに

している『武器ブローカーたち』にも同じことが言える。 つづく


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