7/28ののらねこ
      文は田島薫



朝出勤して来ると、事務所のあるビルの前のねこ広場私道の向こうで、白い子犬を

連れて立ち止まった女性と、その向こうで、ちょっと待っててよ、としゃがみ込んで

何かに手をひらひらやってる女性がいた。


その手をひらひらさせている手前におなじみのつーとんが、あまったれたような

ポーズで伏せて伸びをしていた。

お、つーとん、とそっちをしばらくながめていたが、彼はレディ達に夢中で、全然

こっちには気がつかない様子だった。


仕方ないので、あきらめて階段を上がって事務所のドアをあけると、いつものように、

今月から引っ越して来たUさんがいる(先々週数年ぶりに遊びに来た事情を知らな

かった飲み友達は、ドアあけたとたんに、知らない人が目の前に座って仕事してた

もんで、自分が何か勘違いしたのかと、内心あわてていたようだ)。ねこ来たか

聞くと、来なかった、と言った。


なんだ、これじゃ「きょうののらねこ」書けないじゃないか、と思いながらも、

仕方ないので、あきらめてとりあえずエサの用意をして、それを持ってドアの外へ

出ると、足元にまだらが来ていて、にゃー、と言った。


Uさんが朝1に来てもエサは出ない。エサ出すのは、エサ係だけなんだ。と学習して、

どっか近くの日陰で係員の到着を見張っていたのだろう。

待つ場所として、いつもの物置きの屋根だときょうは暑すぎるようだし。


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