今週の感動              文は佐怒賀豊


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
今週はたった今来たホットな正真正銘、天下無敵、少し悲しい「今週の感動」。



時期後半になって苗植えをしたせいか
うちのトマトはまだ青々しく小さい。
それでも一本の苗からすでに10ッ個ちかくも
ぶら下がっている。
雨上がりに陽でも差したときには、水滴がきらりきらりして
とってもきれいだ。
草取りの合間に写真なんかも撮ったりしてる。

そんなある日、日課の散歩に出たら近所のおやじさんに会った。
やはり家庭菜園をやっている。正確には家庭レベルよりも
3所帯分ぐらいはやっているんじゃないだろうか。
痩せて痛んでいた休地を借り、豆トラクターで耕し腐葉土を
混ぜながら土壌を生き返らせたんだとかの話しで盛り上がった。
「おめ〜!うちの土はふかふかだぞ!これなら何でも実る!」
話しのとおり数列ずついろんな野菜がふさふさしている。
すでにきゅーりも大きいし、茄も重そうにぶら下がっていた。

するとおやじさんはキュルっと姿を返して菜園に入り
「これ食べなよ、まだ若いけどな!」って言いながら
数個のトマトを分けてくれた。
皮の下の赤味がまだ十分じゃない薄もも色のトマト。
生意気なくらい青々しい香りのトマト。
トマトを抱えながらの散歩もなんなんで
中途帰ることにした。

この夏のために一番に食べるのは自分ちのトマトと
決めていたのに、今ピチピチのトマトが我が家に到着、
水溢れる桶の中に涼んでいる。
その晩、食卓に並んだトマトはなんとなく美味しく
感じなかったのはどうしてなのか?


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