1/20の主張             文は田島薫


(役人の理想)

千葉県の産業廃棄物担当の職員石渡さんは、現場に残された不法投棄の

廃棄物から排出元、運搬業者、中間処理業者などを必ず突き止め、

現状回復コストを負担させる一方、取り締まった相手を悪者と決めつけず、

いきさつと手口をつぶさに聞き、不法投棄が後を断たない現状が、国の産廃行政

の不備からとの結論を出し、環境省批判を含んだ本も出版したそうだ。


事業が途中で中止になった宍道湖淡水化中海干拓や、諫早湾干拓による有明海や、

河口堰のできた長良川などでは魚介が激減しつつある。それは工事前から、

そうなることは、各地での前例によってわかっていて、自然保護運動団体などが

大反対したにもかかわらず、「くろうと」である役人や、御用学者が、

何十年も前の政府の「計画を実行するため」だけのつじつま合わせのデータを

作成し、いけしゃあしゃあと「大丈夫」と結論し工事を強行したものなのだ。

しかも、まだ各地で同様の工事を推進しようとしている人々がいる。


役人個人の力では、大きな動きに抵抗するのは大変だから、つい楽な道を

取ってしまう人が多いのだろう。


役人は国民の利益を守るという大前提を忘れなければ、役人だって、もっと

自由に大胆に発言できるはずだし、そういう環境をつくる個々の努力によって、

より合理的で有効な、やりがいのある役人仕事が生まれて来るのではないか。

つまらない昇進などを考えてうまく立ち回ったって死ぬ時、空しいだけだ。


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