連載●文はクボユーシロー

貞熊遺伝研究所10


(天の使い3)

『天』は戦争に関与しない。てゆうか、『天』は人間の争いだけでな

く、地球上のあらゆる生物の抗争や弱肉強食の世界を傍観し容認してい

る。しかし、無関心なのではなく学者のように観察し、研究しているの

である。

僕が40年前の心臓手術の闇の中で『天の使い』になってしまったことは

前回書いたが、ここで『天の使い』とは何かについて書く。

40年間『天』と付き合ってきたから、『天』のアウトラインの一部に関

しては説明できる。しかし、その全貌は分からないといったほうが正し

い。

例えとして的確かどうか分からないが、たくさんの盲人が象の一部に触

り各々が「象とはこういうものだ。」と解説するのと同じよう、『天』

の総てを説明する事は『人間』にはできないのである。

僕と同じように『天』の使いっパシリをする者がこの地上にたくさんい

るというのは気付いている。彼らの中には『天』とはこうだ、自分は

『天使』だと人々を集めて説教する者もいるが、彼らの発言はペテンで

ある。我々は単に『天』の指令に答えているだけで他に何の力も無いの

である。『天の使い』は人々の救いや願いに応える能力も任務も『天』

から一切与えられていないし、『天』もそういう活動を望んでいないの

である。では『天』は今までどういう指令を我々にしてきたのか、

『天』の指令に関しては次回書く。 つづく


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