2/17ののらねこ
      文は田島薫



きょうは共有スペースのベランダから、下のいつものひなったぼっこ親子を

見に行ってみたら、足元に、すぐ逃げるくろとらがくつろいでいて、

やはり、すぐに仮設住宅(ベランダに建っていて無人)の向こうへ逃げた。


逃げたその場所は事務所のベランダ側のガラス戸から丸見えなのだけど、

彼はそれに気づいていないらしく、こっちから見てみると、うしろ向きで、

逃げて来た方向をうかがいながら、大丈夫そうだなと、ゆっくりその場に

寝転がってくつろぐ姿の一部始終が見えた。



先週末は、事務所のビルのすぐ裏にある倒した階段状に曲がりくねった小道

(江戸時代から「七曲がり」という名称でけっこう有名だったらしい)にある

モダンな家の前にいつもいたねこの姿がなくて、変りに猫缶と花がおかれて

あったと、クボセンセイが言った。

10日ぐらい前に氷が張った日があったから、その頃亡くなったのだろうか。


そこにはいつもは小さな毛布の敷かれた箱が置かれていて小太りののらねこが

定住していて、通行人にも可愛がられていたのだ。


はりがみもあったと言うので、行って読んでみたら、

「やさしさをたくさんありがとう、今度はひざの上ではなく、空の上から、

みなさんの幸せをお祈りしています」と、あった。


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