2/3ののらねこ 文は田島薫
月曜が遅番になりゆっくり出勤すると、ドア前にはエサが出されて、1〜2名分食べられた後があった。
クボセンセイは忘れずちゃんと、エサを出したようだった。
でも聞いてみると、彼が出勤で階段を上がって行くと事務所前の3階でつーとんが待っていて、上からにゃーと言ったそうだった。
そういうふうに出てきてもらえれば、ちゃんとエサはやるのだと。
たまたまだったのだ。やっぱりお客さんは気がぬけない。
頭なでた?と聞くと、両手で全身マッサージのジェスチャーをして、こうしてやった、と言った。
昼過ぎごろ、共有スペースのベランダから下を見ると、斜向かいの家の前のひだまりで、つーとんと、まだらと、ちびとらがいっしょに、
寝そべっていた。
彼らは親子か親戚の関係だと思っていたが、やっぱり親子の公算が高い。
見ていると、通りかかった黒いコートの女性がそばにしゃがみこんで手はださずにたっぷり2分間ぐらい彼らを見ていた。
少し居心地の悪くなったのか、まだらが立ち上がって、わきのすき間に
ひっこんで行った時、彼女も立ち上がって去って行った。
彼女は「ねこ見」のプロと見た。