12/15ののらねこ       文は田島薫



きょうは朝から友人の別荘建設会社に打ち合わせで寄って午後出勤した。

事務所への階段を上ろうとすると、足元からなにものかが慌てて階段の裏に逃げ込んだ。

のぞき込んでみると、まだらがこっちを見ていた。

階段わきに明日のゴミ収集日より前に不届きものの誰かが出した生ゴミをあさっていた

んだけど、どっか後ろめたい気持ちでびくびくしてたのだろう。

前にもくろとらの同じような場面に遭遇したことがあったけど、ほんとはこっちの姿の

方が自活するたくましさが出てて、誰かにエサ出してもらってるより、のらねこらしく、

個人的には好きなんだけど、ま、だから逃げるのもいいのか。


事務所前の皿にはエサが入っていて半分ぐらい食べられた跡があった。

シャンさんに聞くと、朝まだらとくろとらが来たそうだから、まだらはエサ食べたし、

まだあることも知っているわけだ、それでも生ゴミあさるっていうのは、

少しでも自活の道を探ろう、という志しのなせるわざなのだろうか。

それとも、毎度のエサ以外のもっとおいしいエサを探ろう、という志しのなせるわざ

なのだろうか。

それとも、何かにおいのするものを見つけると、どうしても中を確かめてみたいと、

知らず知らずに体を動かしてしまう本能のなせるわざなのだろうか。


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