今週の感動 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
今週はきょう来たほんまもんの「今週の感動」。
ずいぶんと昔のイガグリ頭だった頃、どうしてもどうしてもエレキギターが欲しくて、めずらしく家族に拗ねたことがあった。
アルバイトの新聞配達をどれだけ真面目にやっても、街のショーウインドーに
飾られたエレキギターは高根の華。しっかりと錠が下ろされ
青臭い中学生なんかを相手にする様子は微塵もなかった時代だった。
ペラペラのソノシートと呼ばれるレコードを何百回も何千回も聞いた。
ベニアの合板をノコギリで切り小刀で形どったギミックギターを作りながら
送った可愛い日々。
ある朝、小さなアンプとエレキギターが仏前にあった。(我が家では
何でも貴重なものは、最初仏前に置いたんだなあ)
兄貴が買ってくれたエーストーンというメーカーのエレキセットだった。
生まれてきてから初めての大感激だったのは言うまでもない。
その朝は足がどっちを向いて走ったのかわからないような通学をした。
先生の顔もバラ色、いつものハナ垂れ連中もキラキラと光っていた。
「一週間で覚えるギター楽本」ってのがあったけど、筆者は古賀雅男っていう
先生で、エレキ!ぽくなかった。そんなわけで耳だけでコピーを
繰り返しながら日夜を過ごした。ベンチャーズぽい音が出た日はすごく
嬉しかったなア。しかし夜中までベンベン〜と弾いていたのだから、
かなり騒音をまき散らしていたに違いない。
その浮き足だった頭で、学校のテストの勉強を一夜漬けし、4時過ぎには
毎朝新聞配達に出かけた。愚れる時間さえなかったのである。
数十年が過ぎた今も、あいかわらずギターが手元にある。アコースティックに
セミアコ、エレアコ、エレキギターが何本かに増えている。
たいして上達したとは思わないけれど、幸せなもんだな〜って思うんですよ今どき。