8/11ののらねこ
      文は田島薫



きょう朝宅急便が来ることになっているんだけども、朝1のUさんは家族で

中国旅行へ行ってしまったし、早番のクボセンセイはアテにならないので、

定時に出勤した。やっぱりセンセイは来てなくドアにカギがかかっていた。


ドア前にはいつものつーとんとまだらの他に、新人のブラウンがいっしょに

くつろいでいて、私を見るとブラウンだけ逃げようとした。

ちょっちょっ、と舌と手で呼ぶと、その場で立ち止まって逃げるのを止めた。


エサの用意を始めると、まだらはいつものように、にゃーにゃーとせかした。

ブラウンはいつのまにかみんなのそばに戻って来ていた。


ちょっと前は、ブラウンを見たまだらはいかくするようなことがあったが、

ブラウンは世慣れているらしく、それに取り合わず、あくびをしたり、首を

掻いたりするふりをしていた。

ブラウンとまだらは同じくらいの背格好だし、どうもふたりは小さい時に

離ればなれになった兄弟のような気がする。

親にべったりのまだらに比べ、ブラウンはひとりで自活していろいろ苦労して

処世術も学んだんだろう多分。


エサを出すと、思わずブラウンはそっちに行こうとしたが、 すぐに気づいて、

ここでは先輩のまだらに先をゆずった。


みんな帰った後、しばらくして窓から見てみると、以前も見かけた若いくろとら

がベランダで寝転んでいて、目があったが、こっちが親し気に声をかけたせいか、

知り合いの人だったかな、と考えたらしく逃げなかった。


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