連載●文はクボユーシロー

貞熊遺伝研究所18



(天の使い11)

『同情は連帯の外』こんな言葉がはやった時もあった。フセインは勿論、

イラクの人々にも連帯する気はないが。無抵抗な民衆の上に降り注ぐ爆

弾を見る時、『同情』ではどうにもなんないと思う。


50数年前の第二次世界大戦末期にあった地獄絵。それを今、世界中がま

るで戦争映画を見るようにテレビで見ている。あの後、アメリカ人もイ

ギリス人も日本人もそして世界中の人々が『平和』『不戦』を誓ったは

ずである。友好を進めるために人類はいろいろなイベントをやってきた

はずである。小競り合いはあったにしても、オリンピックやワールドカ

ップのたびに『戦争』からどんどん離れてきたはずである人類は。


今、もう一つ大きな問題がある。香港や中国南部を中心に広がり始めた

死亡率の高い新型肺炎『SARS』。アジア各国ばかりでなく、アメリカや

ヨーロッパにも患者が広がっている。はっきりしたウィルス名や伝染方

法も未解明、治療薬もまだなく死者数も拡大している。


今、イラク人の悲劇をテレビで見て自分とは関係ないと思っている『あ

なた』。


『天』はそんなバランスの悪いことはしないよ。 つづく


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