連載●文はクボユーシロー

貞熊遺伝研究所19



(天の使い12)

芸術とは?芸術家とは?先日、こんな『青春っぽい激論』をしてしまった。

鍋を囲んだ『アーティスト』4人はアルコールの勢いもあって、人の発言など

全然聞かない聞かない。それぞれが言いたい事を言い放つのみ。後で思い出し

てみても何を言ったか、あまり覚えていない。

その中で『S氏』の発言は面白かった。町の文化サークルやカルチャー教室の

『絵画教室撲滅論』である。彼の論点をまとめると

1、 生徒は先生と同じような絵を描かされ、発表会には同じ絵がずらっと並

ぶ。

2、 生徒が先生と同じ絵を描いて旨くなったと勘違いしている。

3、 先生は画材屋と結託して高い材料を買わせる。

4、 絵画教室出身のどっかのおばさんから『どちらの先生に習われたのです

か』と聞かれ、S氏は『独学です。』と言ったら『最近、独学でも良い絵を描

く方けっこういらっしゃいますよね』といやみを言われた。

5、 結局、町の絵画教室では絵画や芸術が学べないどころか間違った勉強をし

てしまう。せっかく才能ある人もだめになっちゃう。あんなものは百害あって

一利なし、即刻全国の絵画教室を閉鎖すべし。

とまあ、こんな具合に激怒していたのである。

まあ彼の気持ちも分からん事もない。しかし、生活に余裕のある奥さん連中が

お絵描き半分、おしゃべり半分で楽しんでいる事だし『勘弁してやれば』と僕

は言ったが。まったく聞く耳を持たないS氏であった。 つづく


(タジマから一言)これには私も立ち会っていてS氏の主張に同調したこともあり、
久保センセイの総括に一部事実と相違があったので弁明しておきます。
S氏は即刻全国の絵画教室を閉鎖すべし、とは言ってなく、今の絵画教室には、
おしなべてそういう問題点があるから、改善するべきだと主張したのを、
問題点はない、何も改良する必要もない、いまのままでいいと言って、
まったく聞く耳を持たなかったのは久保センセイだったと、お知らせしておきます。

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