4/14ののらねこ
      文は田島薫



きょうは曇天だけど、あたたかい。

ドア前のエサはそこそこ減っていたが、お客さんの姿は見えない。

階段の下につーとんもいなかったし、斜め向かいの家の前で

親子で日なたぼっこをしてもいない。


みんなどっかへ行楽にでも出かけたか、逆に花見の後で疲れてどっかで

休んでいるのだろうか。(それは私のことか)


昼すぎごろ、半開きにしてあるドアのすき間にまだらしまが来ていた。

こっちを見ている。

エサがなくなったかと、外へ出てみたら、まだ少しあったが足した。

逃げない彼は、そばにいるだけで、エサには行かない。

わからないけど、ただちょっと人の顔を見に来ただけのようだ。


ひっこんで、ちょっとして行ってみたら、帰っていた。


共有スペースのベランダの端へ行って下を見ると、たまにみんなで日なた

ぼっこしている場所に、ぽつんとつーとんがひとりでおすわりしていた。

こっちを見上げているので、おー、と手をあげた。


きょうはみんなどことなくけだるそう、アンニュイな風情だ。

食事も済んだし、とくに困ったことや悲しいこともないけど、

とりたてて楽しいぜ、ということもないな、と言ってるようだ。


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