9/17ののらねこ
      文は田島薫



出勤してドアをあける。背後に気配を感じてふりかえると、

すぐ後をいつもの若い白が上がって来て、階段の上から二段下で

止まりこっちを見ている。


このあいだペット仕様のプラスチック皿をカラスに

持って行かれちゃったので受け皿に使っていた大皿に直に

エサを入れて、手招きする。

若白は半分ほど食べてからどっかへ帰って行った。


夕方にまた当人が夕食に来た。きょうはそれだけ。


ねこ世間も秋に向かい、どこか寂し気だ。


以前来ていた鉄や短志郎、長志郎はもう来ないようだ。


そういえば、その前にも、チャーやポン、クロ、名前なしのまま

子供を産んだり、避妊手術をさせたねこなどいろいろいたのに、

みんなどっかへ行ってしまった。


のらねこは寿命が短いというけど、


1年ぐらい立ってから突然顔を見せに来たのもいたから、

死んだとはかぎらないのだ。


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