2/9の日記



きのうじゃなくて、一昨日の話だが、いつもの立ち飲みに行

くと、毎日来ていた、五十嵐君が来ない。そばで、私の同僚

の雄志郎が「彼は会社を辞めたんだって」という。初耳だっ

たので、驚いて、なぜだと聞くと聞かなかったという。とこ

ろが驚いたことにそこにいた常連のだれも理由を聞かなかっ

たという。10年以上も連日のように一緒に酒をのんでいた連

中がだれもそのことに関心を持たなかったというのだ。なん

だか寂しくなって、五十嵐君も哀れに思えて、何で聞いてや

らなかったんだと声を荒げたら、友だちじゃないし、とか、

みんな大人なんだからほっとけばいいんだ、ここは人生の場

所じゃないとか、てめえはうるせえんだこのやろなぐってや

るぞなどというやつまでいて、下町の庶民の情緒などと思っ

ていた場所の意外な冷たさに、少し正気に戻り、それでも

コップの底の酒をきっちり啜ってから、「寂しいな!そんな

ことをいうようじゃ!」と捨て台詞を吐いて帰った。

怒った私はきのうときょうはそこを欠席したのだった。


戻る