9/30ののらねこ 文は田島薫
きょうは朝から小雨模様。皿にエサを入れてまわり見まわしてみる。多分お客さんの出足は鈍いだろうと思っていたが、ちょっと
目をはなしているすきに、もう誰かが食事をして帰ったアトがあった。
また、まもなく気が付くと、ツートンカラーが来ていて、エサを食べ
おわったとこらしく、舌で口のまわりをなめていた。
窓から彼を見ると、なんだろ?この人は、っていうかおでいつもじっとこっちを見続けてているのだ。
エサ食べた?といつものお愛想を言ってみると、なに言ってんだろ?
この人はいつも、ま、いいか、のんきそうな人だし、とやっと目を
そらして、毛づくろいなどをはじめた。
しかし、ベランダの小雨でぬれたオープンエアの方に座ってるので、おしりがぬれちゃうんじゃないか?って言ってみるが、
ちょっとこっちを見て、なんだかごちゃごちゃ言う人だね、この人は、
いいや、ほっとこうってかおをして、その後はほとんど無視された。
ちょっとしてから、のぞいて見ると、雨の中、ベランダの植木鉢のそばに置いた大きなプラスチック容器に入れた水道水と雨水のカクテル
を飲んでいた。エサのそばにはちゃんとトリハロメタンを抜いた水を
置いているのにと、おーいそっちの水を飲んじゃうのかー、と言うと、
こっちを振り返って、そーだよ、こっちが好きなんだ、と、今度は
はっきりかおがそう言った。