9/9ののらねこ
      文は田島薫



先週と同じで、午前中早々と皿のエサはほとんどなくなった。

それでも、ねこのおやつ分ぐらいわずかに残っていたので、

エサ足すのをちょっと、後まわしにしていたところ、

前に親子で来た黒とらの子ねこが階段の下り口から顔を出した。

こっちの顔を見てから、階段を下りて行くので、呼び止めて、

上から見ると、もう一匹、まだらしまの子ねこが一緒にいる。


エサを皿に入れて、見せながら、手招きすると、ふたりで立ち

止まってこっちをじっと見ている。


ひっこんで、ちょっと待った後、窓からそっとのぞきこむと、

子ねこがふたり並んで皿に顔をうずめていた。


クボセンセイにまた逃げちゃうから窓からのぞきこむだけで、

ドアから出るなよと念を押してから教えたが、

センセイは半分だけ言うことを聞いて、窓からのぞきこんだ後、

静かにゆっくりとドアをあけて、外へ出た。


黒とらはすぐ気づいて階段の踊り場へ逃げた。

気づかないまだらとらに、おーいねこちゃんなどと言っている。

ばかやろ、ねこさんの食事のじゃましちゃいけない、と小声で

しかるとセンセイやっと中へ戻る。


まだらとらはしっかり食事をすまし帰った。

くろとらは安全を確認してから、またエサに戻って食べ直した。

子ねこのくせに、センセイより大人なのだ。



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