10/21ののらねこ
      文は田島薫



小雨の朝、事務所に来ると、いつものように皿とコップを洗って、

エサの用意をしていると、開け放ったドア口にツートンカラーが

かおをのぞかせて、にゃーとあいさつした。


彼の食事がとっくに済んだころ、窓からのぞくと、屋根から少し

はずれたベランダの濡れた床の上に彼はおすわりしていて、手前の

屋根が効いている乾いた床の上に若白がうずくまっていた。


しばらくして、またのぞいてみると、ツートンカラーは帰っていて、

若白はさっきと同じ姿勢で目をつぶっていた。

若白はここんとこ体調がすぐれないようだ。しばらく見てると、

よぼよぼと立ち上がって、水のところへ行き、よぼよぼ飲んだ。


ねこにはくすりにもなるという、マタタビを少し小皿で出した。

よぼよぼなめた後、むくっと立ち上がって階段をとっとと下りて

行った。

元気になったようだった。めでたしめでたし。

おい、そんなにかんたんなもんでいいんだろうか。



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