連載●文はクボユーシロー
貞熊現代アート研究所6
(たそがれ清兵衛)
映画『たそがれ清兵衛』はひどい。原作者藤沢周平と広告にあった、山
田洋二監督のこの映画はストーリーが無かった。あの名監督山田にして
赤っ恥物の失敗作と断言する。しかし全てがだめという訳でなく、
「おっ!」っという場面もある。ここで『責任者をだせ!』という部分
と『マーマー』だというポイントを挙げる。
●『責任者をだせ!』という部分
*藤沢周平の短編三作をブレンドしたのが、まず大乱暴な話。藤沢先生
が存命ならこんな事は認めない。以前の対談で先生は「映画化の話が沢
山有るが断わってる」と言っていた、ましてブレンドなどはもってのほ
か。「コラっ!誰が承諾したんだ。」
*原作を無視した映画、原作者を藤沢周平として宣伝したり、その小説
名を使ったりして良いのか。「コラっ!詐欺だろこれは」
*案の定、藤沢文学の命である『筋立て』の面白さを無視した継ぎ接ぎ
の三流映画。「コラっ!入場料返せ!」
*どんな小説の映画化でも原作の持つイメージは崩れる、しかし原作中
この映画に残ったイメージは庄内地方の山河だけ。「コラっ!旅番組か」
*前宣伝で山田が力説していた「従来の時代劇映画に無かった、リアリ
ティーのある殺陣」って言うから期待してた…。「コラっ!どこにそれ
が有った。」最後の方で屋内でのチャンバラ場面、尻餅をついた主役に
相手が上段から切り下ろした、その刀が鴨居に食い込んで抜けなくな
り、主役が相手の腹を切りめでたしめでたし。「これってコントや漫画
にあるギャグだろ、コラっ!」
*子供が、主役である親の思い出を回想する映画の筋立て。これって少
し前の中国映画によくあったパターン、名監督にしては随分手を抜いた
映画作り。(バック音楽に中国楽器・二胡を主役に使い、まんま中国映画
だろコラっ!)
*宮沢りえは最大のミス。つまらねー映画に何とか話題を付け売上アッ
プを狙う、なりふり構わぬこの配役に山田の性格の悪さを見た。第一不
気味だろこの映画にあのキャラは、「コラっ!『寅さん』じゃねー、っ
たく。」
●『マーマー』だなというポイント
* 真田広之が木刀で素振りしたとこ。
以上 つづく