5/20ののらねこ
      文は田島薫



きょうは朝、小雨もようだったが、朝一番で、若い方のクロトラ

がエサを食べに来た。


瞬間にすれ違ったりすると、よく似ていて見間違えたりするのだが、

営業努力家で大きな肥満ですぐ逃げるクロトラと、中肉中背で

わりあい人なれしている若いクロトラの2名いるのだ。


クボセンセイにそれが来たことを教えると、彼はドアの方へ行く。

あけてある窓から静かにのぞきこめば見えるので、ドアを

あけるなよ、とまた言ってるそばから、あけた。


クロトラはおどろいて皿から、はなれて、階段の方へあとずさりする。

他のねこなら、ここで逃げてしまうところだが、彼は逃げなかった。

そういえばこの間は、こっちが見てる前で、くつろいで身づくろいして

から帰ったことがあった。


彼はじっとして、こっちの顔を見ている。クボセンセイがひっこんだ。

見ているとゆっくり、エサの皿の方へもどった。


それにしても、クボセンセイはふだんから、ぐっすり眠っているねこに

ほっとけと言っても大声で呼び掛けて起こしたり、ねこの方の都合は

あまり考えないのだ。

教育ママなんかで、ありがちなタイプだ。



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