7/29ののらねこ
      文は田島薫



朝来るとドア前の皿はきれいにカラだった。


先週から新しいエサ(前のより同じ定価で量が多かった)を

出してみたら、これが不評で、朝になってもあんまり減ってない

日もあったりしたが、めげずに山盛りにしておいたエサもさすがに

土日を過ごすと、誰かにおいしく召し上がっていただけたようだ。


先週は火曜からずっと、若白がベランダにいついていた。

エサはほとんど喰わずに(エサがまずかったからかも)、ずっと

昼寝をしているのだった。

夜になったら秘密のおいしいエサ場に通ってたのかも知れない。


彼は我々を見ても逃げないんだけど、そばへ寄ろうとすると

ちょっと横へ移動して、いつも一定の間合いを保つようにしている。

我々もそれを知っているので、ドアの外へ出て階段を下りる時は

彼に知らんぷりして、すこし廻り込むように移動する。

すると、あ、気がつかれなくてよかった、といった顔をしているのだ。


ドア横の開けっぱなしの窓から、横になってる若白と目が合う

ことがある。じっとこっちを見ているんだけど、こっちがいろいろ

話しかけて笑顔を見せても、彼は表情を変えず決して笑わない。

硬派なのだ。



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