連載●文はクボユーシロー

貞熊犯罪研究所 4



(松戸の社長宅放火殺人事件)

8月5日午後3時ごろ、松戸市のマブチモーター社長(69)の自宅で妻(66)と

娘(40)が絞殺された。犯人はガソリンのようなものを室内に撒いて放火

し社長宅は半焼した。妻は10年前から車椅子の生活で娘はその介護をし

ていたという。事件は19日現在、未解決である。

(警察発表で分かっている事)

○ 娘は二階の夫婦の部屋で、妻は一階の居間で絞殺されていた。

○ 絞殺道具はこの家にあったネクタイと見られる布。

○ 二人の顔には粘着テープが付いていたが、体を縛った跡は無かった。

○ 死体は煙を吸っておらず、犯人は二人を絞殺した後で放火した。

○ 二階の夫婦の部屋にあった2千万相当の貴金属と数十万の現金がなく

なっていた。

○ 他の部屋にあった貴金属や現金は手付かずであった。

○ 表玄関のカギは閉まっており、犯人はカギを閉めていない勝手口より

出入りした。

だいたい以上の事柄である。

これだけでこの事件すべてを推測することは難しい、警察内部も二つの

筋立てを考えてるようだ。一つは純粋な金銭目的の事件、二つ目は強盗

を装った復讐事件。

貞熊犯罪研究所としては前者を取る。この事件のテレビ報道で近所の人

がインタビューに「事件の前に、外国人らしい人物が馬渕さんの家の周

りをうろついていた。」と答えている。その外人らしい人物を即、実行

犯と決める事は難しいが、事件と無関係ではないだろう。話は若干飛ぶ

が、12日午後4時ごろ岐阜県で資産家の自宅から約1億8千万円の現金と

貴金属の入った200キロの金庫がそっくり盗まれている。

マブチモーターは本社こそ松戸市にあるが、生産部門は大部分中国にあ

る。模型やパソコン等に使われる小さなモーターでの世界シェアは50

パーセント以上と言われる。そのブランドは外国人にも有名であろう

し、そこの社長はすごい大金を持っていると思うであろう。しかしテレ

ビ報道で見る限り社長宅にしては意外と普通の家である。ところが社長

の兄の会長(松戸在住)の自宅がすごいのである、その超豪邸ぶりは週刊

誌などで何度も報道されている。犯人たちは初めは会長宅を狙ったと見

る。ところがその会長宅のセキュリティーが非常に厳しかったので近く

にあった社長宅にターゲットを変更したのである。

犯人たちは女性二人の在宅を確認後、無施錠の勝手口より進入しすぐに

粘着テープで二人の口をふさいだ。娘に金の場所を案内させたが、彼女

は貴金属のみを提出して他を拒否した。犯人は激怒しそばにあったネク

タイで絞殺した。問題点は犯人たちが二人を殺害後なぜ現場に放火した

のかである。 つづく



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