8/19ののらねこ
      文は田島薫



台風が接近中で大雨が断続的に降っているきょうは、

にせのらねこたちは家から出してもらえないし、プロたちは

迫り来る危険を鋭い本能でキャッチし、安全な居場所を作っている。

だから誰もエサを食べに来ないはずだ。


休暇中の先週末の夕方3日ぶりにエサを補充しようと、事務所への

外階段を上って行こうとしたら、上から気のいいツートンカラーが

下りて来た。

エサを食べに来たけど、皿が空なのでしかたなく帰るとこだったのだ。


おお、グッドタイミング。彼も笑ったように見えた。


でも一応のらの作法、わきに少し逃げ、こっちをやり過ごす。

エサを入れて階段の上から下を見ると、やっぱり彼は下にいて、

こっちをうかがっている。


エサを見せて手招きするが、下からこっちを見ながら考えている。

そのままひっこんで、窓から見ていると、ちゃんと上がって来た。


メールのチェックなどして、帰ろうとドアをあけると、食後の彼は

ドア前のスペースでのんびりくつろいでいた。

で、こっちを見ると立ち上がり、間合いをとりながら、いっしょに、

階段を下りて、下の階の踊り場のすき間に身をかくし、

じっと見ながら、こっちをやり過ごすのだった。



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